運動神経は遺伝しない?
子どもにはのびのびと外で体を動かして、元気よく育ってほしいもの。
親が運動に不慣れだと、ついつい「私の子だから……」とあきらめていませんか?
確かに、オリンピックやアスリートの子どもは運動神経抜群になるケースが多いですし、その逆もまた少なくないようです。
果たして、運動についても「カエルの子はカエル」なのでしょうか。
最新の研究では、運動能力は遺伝的要素ではなく、経験的要素による影響のほうが大きいと考えられています。
つまり、親が運動音痴だからといって、子どもまで運動が苦手になるとはかぎらないのです。
では、子どもの運動能力を早い段階からのばしてあげるためには、どのようなことを意識すれば良いのでしょうか。
8歳までが勝負!
言語能力、音感、数学的思考力……子どもの能力には、それぞれに「臨界期」があると言われています。
臨界期とは言い換えれば発達のピークで、たとえば、音感は5歳までに集中的にトレーニングしなければ発達しないと言われています。
運動能力の臨界期は、8歳頃だとされています。
人間の場合、8歳までに運動能力を司る神経細胞(シナプス)がほぼ発達し、安定化すると言われています。
臨界期を過ぎてから運動能力をきたえてもある程度の発達は期待できますが、やはり、「8歳までにどのくらいの運動を経験してきたか」ということのほうがより重要になります。
8歳までの運動で気をつけたいこと
大人になってからも運動能力を高くキープするためには、子どものうちから「動きの引き出し」を増やしておくことが大切です。
走る、跳ぶ、しゃがむ、引っ張る、押す、転がる、蹴る、投げる……8歳までにできるだけたくさんの種類の運動を経験し、脳の神経回路に一種のプログラムとしてストックしておくことで、成長してからも同じ動きをスムーズに再現できるようになります。
「運動神経が良い・悪い」とは、8歳までにどれだけたくさんの運動を経験してきたか」ということなのです。
幼児期、学童期、青年期と、子どもの成長段階に合わせて適切な運動を「遊び」として親が見せていくことで、子どもも楽しみながら運動に親しむことができます。
子どもと一緒に楽しもう
子どもの運動能力をのばしたいのなら、親も一緒になって楽しみましょう。
幼児期から学童期までの子どもは遊びを通してさまざまな経験を積み重ねていきますから、親子でたくさんの運動を楽しみ、遊びながら成長していくことで心も体もすくすくと育ちます。
大切なのは、決して強制しないことです。
子どもは押しつけに敏感です。
子どもの気持ちを無視して一方的に運動するように仕向けたところで、子どもはちっとも楽しくありませんし、かえって運動が嫌いになってしまいます。